踏み間違い経験者だからわかるAT(オートマチックトランスミッション)の重大な欠陥とその恐ろしさ

飯塚幸三被告人が裁判において「松永さんのブログを見ている」と言っていたので、9月2日の判決を前に私の願いを書きます。

あなたの法律上の無罪を主張する権利は尊重しています。正直、私たちはそれにずっと苦しめられてきましたが、罪と罰から逃れようとする事も一定の理解はします。

ですから、このブログは怒りを込めた命令のような意味ではなく、あくまで私の願いを綴るものです。

一審の判決が出たら、もう辞めにしませんか。
こんな何も生み出さない無益な争い、もう辞めませんか。

妻が私に教えてくれた、他者に対する愛を、私に残された人生で実践していきたいのです。
そして、妻と娘が愛してくれたままの自分らしくありたいのです。

そのために、私はあなたと争い続けるためにエネルギーをこれ以上使いたくないのです。
そんな事より、交通事故をひとつでも無くすための活動に全力を注ぎたいのです。

私にこの先何年も、人を恨み続ける道を歩ませないで欲しい。2人の愛してくれた、私らしい私でいさせて欲しいのです。

あなたも人の子であるならば、私の
「愛しているからこそ、2人の命を無駄にしたくない」
という気持ち、少しだけ想像してみてほしいです。

愛する妻と子供を奪われ、あなたの主張にもかなり苦しめられました。死ぬ事も考えましたし、壊れそうになる精神と戦いながら生きてきました。

あなたが故意で命を奪ったわけではない事は分かっています。
ですが、これだけの客観的証拠が揃っているのです。もうこれ以上争っても、お互いに苦しいだけではないでしょうか。

私も家族を愛してます。ですから、あなたもあなたのご家族の助言や想いにも、耳を傾けてみてもらえませんか。

苦しんでるのはあなただけではなく、事故を起こしてないご家族にも、相当な苦しみがあるはずです。

私は被害者遺族ではありますが、同じ事故の当事者として。そして、愛する家族を持つ一人として、どうしてもあなたに伝えたかったです。

あなたは裁判で「家族には迷惑をかけたくない」と言っていましたが、この2年、果たしてそうでしたか?
愛の気持ちを持って、ご家族の事を是非改めて考えてみてください。

あなたと私で同じ視点に立つ事は決して出来ません。人間であれば皆そうだと思います。
だだ、社会に対して争いの感情をばら撒くのはもう辞めませんか。
「どうすればこういった事故を無くせるのか」という視点を共に持ちませんか。その為にできる事は、これだけの証拠を前にして「車のせいだ」と言い続けることでは決してないはずです。

それが、あなたが真菜と莉子に出来るせめてもの弔いであり、残された人生で、愛を持って出来る事のひとつなのではないでしょうか

 

池袋暴走死傷事故ご遺族松永拓也さんのブログ(8/5付け)の全文転載

 

以上引用終わり

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(薄っぺらい僕がコメントするとご遺族のこの文章の品位が損なわれてしまいそうなので何も触れずに本題に入ります。)

僕もこの事故の原因は『アクセルとブレーキの踏み間違い』だと思います。

踏み間違い事故が本当に絶えません。

最近の新車は踏み間違い防止装置がついているものが増えてきているようですが、

今、日本を走り回っっているのはこういった安全装置がついていない車の方が大

多数でしょう。

コンビニで、病院で、路上で、車が突っ込んだという事故の話を耳にする度に『またか・・・・!』という怒りとやるせなさをいつも感じてきました。

 

僕の怒りの矛先は『数センチ隣のペダルを間違って踏んでしまった』というほんのちょっとした人間のミスで重大な事故を引き起こして人命を奪い、身体に怪我を負わせ、被害者も加害者も不幸の底に落とすAT(オートマチックトランスミッション)という重大な欠陥を持つ機械を何度も何度も何度も同じことが起こっているのに放置して反省することなく作り続けて世に出してきた自動車メーカー(と関連企業)と指導しない国に対して向いています。

なぜ僕が”欠陥工業製品”とATを目の敵にするかと言えば、僕自身も踏み間違いの経験者だからなのです。

僕は免許取ってから所有してきた、している車はMT(マニュアルトランスミッション)のみです(と言っても長く、大切に乗ってるのでまだ2台しか所有したことありませんが)。

理由はMTの方が『操作感を感じることができて楽しい』という一点でした。

踏み間違いを経験するまでは。

 

踏み間違いを経験してからは『ATより断然安全だし、楽しいから』と、安全性に対する信頼が『乗って楽しいから』という理由よりも、こだわる理由として上位に位置しています。次に乗る車もMT車に頑なにこだわります。もう踏み間違いをしたくないからです(MT車にも踏み間違いはありますが、クラッチを併用した慎重なアクセル操作が必要なので踏み間違いにすぐに気づき、AT車のように急発進してしまう可能性は低いと考えています)。

 

僕が踏み間違いをしたのは10年以上前、家族の車(AT車)をバックで車庫入れしようとした時です。

ブレーキを踏んで停止させようとしたつもりが、間違ってアクセルを踏んでしまい、車は強い力で後ろに下がろうとします。

燃料が勢いよく噴射され、ウオォォオンというけたたましいエンジン音に『あれ、ブレーキを踏んでいるはずなのに』と頭の中はパニック

時間にしてはほんの数秒だったからもしれませんが

アクセルペダルに足が張り付いたような感覚になり、

すぐにアクセルを戻す動作をとることができませんでした。

 

これが踏み間違いの恐ろしさではないでしょうか。

ブレーキを踏んでいるつもりだから、エンジンの吹き上がりや車の加速を感じても

アクセルから足が離れず、『もっと制動しないと!』という意思でさらに強くアクセル

ペダルを踏んでしまう。

 

たった数センチ踏むところを間違っただけで、場合によってはもう、全く取り返しのつかない悲惨な事故につながってしまう。

 

幸い、僕の場合は後ろに車止めがあったので車は暴走せず、少しして我に返って事なきを得ました。もし平静になるのが遅れてそのまま暴走しても、後ろはコンクリートの壁でありましたし、人もいませんでしたので自損事故で済んだでしょうが、これがもし人様のいるところだったらと思うと恐ろしくて恐ろしくて。

 

以後、AT車でバックする際は特に注意を払っていますが、人間は間違う生き物ですから

この先踏み間違いをしないという保証はありません。また高齢となった実家の家族は大

丈夫かという不安も感じます。

 

事故を起こそうとして起こす人は皆無と言っていいでしょう。しかし事故は起きてしまいます。

社会的地位を築き、地域の人々からも信頼され、家族と幸せな老後を過ごしてきた人が

『ちょっとしたミス』に起因する、しかし重大な事故により、突然加害者として家族を

含めて不幸のどん底に落とされてしまう。このようなことがあって良いはずがありませ

ん。

 

僕は常々AT車の踏み間違い事故が起こる度に製造メーカーと国に対し、怒りを感じてきましたが、何か行動に移したかと聞かれれば、『何もしてこなかった』と答えることしかできません。

今回ご遺族のブログを拝読させていただき、初めて知りましたが『交通事故を減らしたい』と具体的な行動を積み重ねられているようです。心から敬意を表します。

僕もできることを考えてやっていきたいと思います。

 

AT車にとりつけることができる、踏み間違い防止ペダルとしては

ナルセペダル がすごいと思いますが、価格がまだ高い。普及すればもっと価格が

下がるかも。是非みなさんナルセペダルにご注目を。