時代の流れは

ネットニュースを見ておりましたら、はだしのゲン広島市の児童向けの平和教育の教材から外されることになったと。

その理由は

『漫画の一部を教材にしているのため被爆の実態に迫りにくい』とか

家計を助けるために路頭で浪曲を唱って日銭を稼いだり、母親に栄養をつけさせるために人のうちの池の鯉を盗んだりする場面が現在の児童の生活実態に合わない、誤解を与えるという指摘などが理由だそうです。

率直に言って非常に残念な決定だと思います。

僕がはだしのゲンに触れたのは小学校1,2年生の頃でした。

校内放送で『こんど図書室に漫画が入ります。』と紹介されたので、学校で漫画が読める!!と非常に喜んだのも束の間、中を見て驚愕。『なんだこの気持ちの悪い漫画は!!』と、楽しいものを想像していたので、地獄に突き落とされたような衝撃でした。

どの場面を見てそう思ったのかというと被爆直後の広島市内の描写です。

被爆者の肌は黒く溶け、指先からは溶けた皮膚のようなものが垂れ下がっています。

漫画とは言え、今まで見たことも想像したことのない人間の姿でした。

そして一見無傷で健康そのものの被爆者を蝕む放射能

はだしのゲンを読んで、原子爆弾核兵器がいかに恐ろしく、だからこそ絶対に使ってはいけない兵器であることが深く胸に刻みこまれました。僕の人生において、これほどその後の考え方、生き方に影響を与えた読み物はありません。

はだしのゲンの素晴らしさは、原爆の目を背けたくなるような実相を描いているだけではありません。

ギャグの要素もあり、楽しく読めます。色んな登場人物が出てきて、人間ドラマも豊かに展開されます。悪い奴もいっぱい出てきます。でもなぜそうなったのかも描かれており、読むうちに引き込まれていきます。登場する子どもたちも無邪気とは言い難く、悪いこともしますが、『生きるんだ』という明確な目標を持ち、実に活き活きとしており、見ていて清々しく思います。

子どもたちには是非読んでほしい漫画だと思っていただけに、それに触れる機会が減ることが本当に惜しいです。